エンジニアが観るとモチベが上がる(かもしれない)作品
この記事は「弁護士ドットコム Advent Calendar 2022」の 9日目の記事です。 昨日は@ediさんでした。
この記事では専門的な技術の話はほとんどしません。
箸休めとして気軽に読んでいただければ🙏🙏
対象者
ドラマや映画でコーディングの様子が映ると「おっ」と身を乗り出してしまうあなた。
言語やエディタやコーディング内容を読み解こうと一時停止してしまうあなた。
「任せろ、準備してきた」と言ってラップトップを開いたと思ったら全力ライブコーディングが始まって、「なんで?」と首を傾げてしまうあなた。
別にどれにも当てはまらないけど映画などの作品が好きなあなた。
この記事で「面白そうだな」と思える作品を見つけていただけたら幸いです。
余談
最近観た最高映画は犯罪都市 THE ROUNDUPでした。
マブリーのでっかい背中が映った瞬間に「暴力は全てを解決する‥‥!!」のコピペ画像が脳裏をよぎる痛快アクションです。
前作未観でも多分観れるので、脳内アドレナリン出してすかっとしたい方におすすめ。
※1mmもエンジニアリング要素ないです。全ては拳で解決する。
諸注意
「ハッキング/クラッキング」を使い分けず「ハッキング」で総称している作品がありますが(一般人にクラックは馴染みが浅いため)、一旦それぞれ公式情報の言葉に沿って紹介させていただきます。
ご了承ください🙏
映画
フィクション
ソーシャル・ネットワーク
言わずとしれたFacebookの生みの親、マーク・ザッカーバーグの伝記的作品。
Facebookの始まりから訴訟までをセブンのデヴィッド・フィンチャー監督が描きます。
監督名見ただけで「ア」という顔になりますが、実話ベースなので気楽に観れます。
マークが女の子に振られた腹いせに一晩で学内SNSを作り上げるシーンでは、「apacheのindexページからwgetで顔写真を一括取得」「数百ページ分の画像DLをperlスクリプトで自動化」など、ガシガシエンジニアリングしてる演出もあります。
なお、脚本家がマーク・ザッカーバーグに取材を申し込んだが断られたそうなので映画はあくまで映画ということです。
ピエロがお前を嘲笑う
指名手配中の天才ハッカーが自ら警察に出頭し、数奇な人生について語り始める。
しかし彼の自白と現場証拠は辻褄が合わず、警察は次第に彼の語り口に翻弄されてゆく。
「マインドファック・ムービー」と謳われた騙し系映画。
ゼロデイ攻撃、トロイの木馬、悪魔の双子、DDosなどなど知ってる人ならわかる、知らない人でも解説を挟んでくれます。
ハッカー同士のチャット会話が地下鉄CGで表現されているのもかっこいい。
原題「Who Am I ― Kein System ist sicher」
ハッカー集団がテーマの映画でwhoami
はアツい。
邦題は登場するハッカー集団「CLAY (Clowns Laughing At You)」からだそうです。
こんなセンスいい原題ならそのままでよかった…ぼくエリちゃうんよ…とちょっとしょんぼりしましたが、たしかに技術職じゃないと知らないですね。
(ご存知ない方は「ぼくエリ 邦題」で検索してください)
おまけ
バトル・ロワイアルのハッキングシーン、確か「ガチの技術監修が入って動くソースコードが組まれていた」「映っている手は監修者本人のもの」という情報を公式ガイドブックで読んだ気がする…と十年以上前の記憶を探したらご本人のツイートが見つかりました。
映画バトルロワイヤルのハッキングシーンを監修した。ノーギャラだったけど完成後に出演者とのボーリング大会に呼ばれた。#あなたの狂った体験を聞かせて pic.twitter.com/7eCpJv7EBM
— やまもこ - LiverCity inc. (@livercityjp) 2020年6月14日
画像のVAIOは友達の私物
ハッキング画面を作ったのは僕の友達
C言語・nmapのソースだそうです。
作者によってリスト化されています。
ドキュメンタリー
2つともNetflixオリジナルドキュメンタリーです。
監視資本主義: デジタル社会がもたらす光と影
ソーシャルメディアに潜む問題を取り上げたドキュメンタリー映画。
FacebookやInstagram、Pinterestといった有名SNSの(元)中の人たちが「とんでもないものを作ってしまった」と懺悔しています。
アルゴリズムによる表示調整や、ユーザーを長時間滞在させるための無限スクロール仕様、「いいね」の承認欲求等でユーザーをSNSに縛り付け、広告料を稼いでいるよ!という暴露系の雰囲気です。
伝えるべきこととしては「技術自体に罪はなく、それを適切に扱うことが大切だ」「法規制が必要だよ」ということなのですが、エンタメ要素か監督の意向なのか少々煽りが激しい印象です。
とはいえ、業界の中にいる我々エンジニアこそ感覚が麻痺するところではあると思うので、時々立ち止まって考えるべき問題かもしれませんね。
かく言う私も先月末、「これが行動経済学…!」と泣きながらソシャゲの課金ボタンを連打していたので心の底から猛省しています。
わかっていればいいってものじゃない。
なお推しは来ませんでした。
次こそ引く
AIに潜む偏見: 人工知能における公平とは
こちらも上記のドキュメンタリーとよく似た構成のドキュメンタリー。
こちらは「現代社会の基盤にあるアルゴリズムの危険性」ということで、「顔認識アルゴリズムに潜む偏見」が主題になっています。
有名企業が司法にも提供していた顔認識アルゴリズムは「白人男性が優位に認識され、黒人女性の認識率は低かった」という点から、AIへの教育データ自体に人種差別が確認されました。
日本には顔認識導入がまだ浸透しておらず、その前に法規制を求める声が強いことが幸いしているという感じでしょうか。
行政及び民間等で利用される顔認証システムに対する法的規制に関する意見書
海外では精度が低いまま街頭捜査等にも使われていることが問題視されているそうです。
これもやはり「技術やAI自体に罪はなく、国や企業が法規制も含めて正しく取り扱うべきだ」という主張のはずですが、危険性が強く表現されているためちょっと過激な論調でした。
しかし中国の信用スコアなどを鑑みると、PSYCHO-PASSの世界はそう遠くはないのかもしれないですね。
(PSYCHO-PASSに出てくる、服とメイクを保存しておいて一瞬で再現できるあの技術はめちゃくちゃ欲しい。本当に欲しい)
ドラマ
ザ・プレイリスト
音楽ストリーミングサービス「Spotify」の創業を描く、フィクションと実話を交えた創業ドラマ。
スタートアップあるあるが山盛りです。
全6話構成で、CEO・音楽業界の社長・弁護士・プログラマー・共同設立者・アーティストという6人それぞれの立場から描かれます。
一話ごとに目線が交代するため、同じエピソードでも「弁護士にとっては美談扱いだがプログラマーにとっては納得のいかない経緯だった」という認識の歪みも表現されていて面白いです。
いわゆる『羅生門』形式ですね。
舞台演劇のような演出もあって、Spotify成り立ちの把握だけでなく映像作品としても見応えがありました。
ミスター・ロボット
でっかい企業の金融資産ハックして現代版鼠小僧やろうぜ!って話にサイコスリラーが絡んで明度落としまくった感じです。
アノニマスオマージュのハッカー集団ドラマですが、雰囲気はタクシードライバー、ファイト・クラブ。
コンピューター・セキュリティ会社で働く凄腕ハッカーの主人公は、ある日「F・ソサエティ」と名乗るハッカー集団からスカウトされる。
彼らの目的は、世界一の複合企業「Eコープ」の保有する金融データを破壊することによって「ありとあらゆる借金、ローンを帳消しにし、かつてない富の再分配を引き起こすこと」だった。
作中では主人公のハッキング描写が頻繁に挿し込まれます。
技術用語も多いので、わかる人が観るとより面白いかもしれません。
あくまでフィクションドラマなので全編通して技術要素山盛りというわけではありませんが、リアルな描写はちょっとテンションが上がりますよね。
こんな記事もありました↓
MR. ROBOTの技術的内容を解説する(S1E1)
おまけ
私は加入していないので未視聴ですが、Uber創業者のドラマがU-NEXTで独占配信されているそうです。
スーパーパンプト / Uber -破壊的ビジネスを創った男-
大体のレビューやブログに「すごいけど主人公が最悪」と書かれているの強い。
漫画
王様達のヴァイキング
孤独な天才ハッカーが投資家の男性と出会い、助力を受けて自らの真の力を開花させ、やがて犯罪者としての過去を活かして凶悪犯罪に挑む、というIT成長ストーリー。
知人に勧めたら「気がついたら夜が明けていた」と苦情を頂きました。
お買い上げありがとうございます。
近年の作品なので、技術の話題も新しめのものが多いです。
作中に出てくるソースコードは実際に技術監修の方が書かれたものだとか。
(ちゃんと「クソコード」もある)
作者本人はもともとエンジニアリングには全く詳しくなかったとのことですが、業界や作中で起きる事件はマーケティング面も含め、かなりリアルに描かれているなと感じました。
巻末にずらっと並ぶ監修者や協力者のリストがそうそうたる顔ぶれで(某NPO法人設立者、某社の創業者、某社の偉い人や元CTO、etc)、「このサイバー事件本当に起こりそう」感にちょっとぞっとします。
技術者でない人に向けた、巻末解説も読み応えがあります。
100話で心折れるスタートアップ
https://www.amazon.co.jp/dp/B0BHMPSFSVwww.amazon.co.jp
Twitterでバズっていた、「胃イッッッッッタ」 と涙なしには読めないスタートアップ漫画。あらゆる既視感。思わず逸らす目。
作者さんのTwitterからも読めます。
ウサギくんお疲れ様でした。
NFT完売ならびに物理書籍発売決定おめでとうございます!
最後に
お読みいただきありがとうございました。
最後に懺悔をしますと、まだスニーカーズ、シリコンバレー、マトリックスなどの王道エンジニアリング作品を観たとがありません。
こんな記事を書いておいて重罪だと思うので来年中には履修したいです。
明日は@metsa77さんです。